MONDO GROSSO/The Europian Expedition
最近のUAやCHARAの楽曲のプロデュースも担当し知名度急上昇中の大沢伸一のプロジェクト。93年にデビューし、数々の名作(どれを聴いてもハズレなし)を生み出してきた。このアルバムは、ヨーロッパツアーのライブの興奮をそのままパックしている。ジャズファンク好きな人なら、何度聴いてもあきません。ちなみにこのツアーはビデオにもなってます。最近の大沢1人になってからのMONDOは、「BPM100以上はやらない」宣言を出し、完全に「都会派R&B」路線になってしまっているので(それはそれで好きだが)、こんな熱い曲達は2度と書いてくれないのかと思うと残念。
SAKURA/Lover Light
ラジオで流れているのを聴き、速攻でCD店に駆け込んだ1枚。なんせ、プロデューサー&Keyがキハラ龍太郎! さらに参加ミュージシャンが、Dr:佐野康夫、Bass:小松秀行なんかが名を連ねている! これはもう聴く前から期待してしまいます。で、その期待は裏切られないでしょう。これだけソウルフルな曲を書ける人が、日本にも出てきたのだなあ。
井手麻理子/CRAWL
エイベックスから出てるにしては、すごく黒い新人。ラジオで流れてて気に入ったので、私的には珍しく、シングルでゲット。音的に、完全に70年代のブラックミュージックです。どこかで聞いたことあるキメだな、と思ってたら、ライブではなんと元ネタまで披露してました。ボーカルもかなりパワフルだし。
MISIA/つつみこむように...
バカ売れシングルですが、やはりいいものはいいです。まずボーカル。5オクターブっていう数字をほめるわけじゃないけど、いい声してます。あと、曲。現代のR&Bを日本風に解釈すると、こうなるんでしょうね。メロディアスで、かつノリがある。最近、こういうジャンルのシンガーが増えてきて、うれしい限り。こういう曲を聞いてると、無償に打ち込みがやりたくなってきます。マキシシングルの方の2曲目のMUROさんのラップにもシビレます(死語)。
鷺巣詩郎/EVANGELION VOX
通称"EVA缶"。ただのアニメのサントラ程度に考えてると、足をすくわれます。外国人女性シンガーと組んでワールドワイドに活躍している鷺巣さんならではの、いわば「究極の和製R&B」と言ってしまっても過言ではないでしょう。確かにフレーズのネタはエヴァのサントラからのものですが、それをここまで料理するとは。十分フロアでも使える完成度です。特に歌モノは最高。エヴァの劇場版の"THANATOS"にシビれた人、これは買って損はないです。美メロ炸裂!って感じです。アニメファンっていうより、R&Bファンに聞いて欲しい一枚。ま、所々アニメのセリフが入ってるのは御愛敬ってことで。。
MISIA/陽があたる場所
MISIA、バカ売れマキシシングル第2弾。シングルを買わない俺なのに、また買ってしまった。。。今回は、前のシングル程のインパクトはないとしても、なかなかいい感じのちょっとミディアムな2曲。カップリングの方が気に入りました。やっぱりこの人の曲は、実に日本人受けするいいメロディが特徴ですね。このCDは、俺にとっても思い出の一枚になりそう(笑)。6/24発売のフルアルバムが今から楽しみです。
Original Love/風の歌を聴け
高校のころ、一曲目の"The Rover"がラジオから流れてきて、邦楽離れした曲調とボーカルにふっとんだ記憶があります。このアルバム、俺が聞いたオリラブのアルバム(といっても全て聴いたが)の中でBestといえるものだと思います。メロディの美しさ、アレンジの多彩さ、バンドとしてのまとまり、そしてファンキーさと、どれをとっても最高です。逆に、このアルバムがすごすぎて、それ以降のアルバムの存在感が薄くなってしまった気も。。。今のオリラブは、田島一人の趣味色全開って感じで、あまり好きではありません(っていうかメンバーが田島一人だし)。去年のツアーも、客がノッていたのは昔の曲ばかりだったような気がします。
ちなみに、二年ほど前、オリラブの限定モノボックスが出ましたが、まだ売ってるかもしれない。オリラブが熱かったころの名曲が全て入っているので、見つけたら買ってソンはないでしょう。
MISIA/mother,father,brither,sister
もはや日本の歌姫、MISIAのデビューアルバム。基本的に今までのシングルの路線を継承した、いわゆる「売れる」アルバムに仕上がってます。もうこの人に関しては言い尽くされた感がありますが、やはりメロディの美しさでしょう。「日本の歌謡曲」のメロディセンスですよね、これって完全に。メロ的には、全盛期の山口百恵に歌わせたいような曲とか、谷村新司並に熱い曲なんかもあります。そしてそれを支える「今風の」バックトラック。予定調和的なツボつきまくり、というか。。もうこれは、ボーカルの力量もさることながら、レコード会社の戦略を感じてしまいます。ちょっと悔しいけど、でもいいよね(爆)。
Cosmic Village/Nice Age
沖野修也率いるユニットの全編YMOカバーアルバム。#3とかがかなりかっこいい。打 ち込みの曲あり、生音バンドの曲ありと、原曲をぜんぜん知らない人が聞いても( まさに自分)1枚のアルバムとして楽しめるのだから、YMO好きならもっと楽しいの ではないだろうか。今までのジャンルにとらわれないクラブミュージック、って気 がする。
マンデイ満ちる/YOU MAKE ME
マンデイの新作を限定アナログでゲットしました。大沢プロデュースということで 、安心して聞けるクールなR&Bに仕上がってます。大沢風、というアレンジはもう完 全に1つのジャンルとして定着したようですな。フロア受け間違いなし。暖かいローズの響きが好きなポイント、かな。 ちょっと前に出た大沢とAttica Bluesとの共作アルバム「Oh La La La」でも、大沢 節は炸裂してます。いい感じです。要チェック。
スガシカオ/Family
シングル「愛について」がけっこう好きだったので中古で出ていたアルバムをゲット。たいして期待していなかった分だけ大きな驚きでした。かっこいいじゃん! ファンキーな「ヘタウマ」ギターがいい味出してます。ワウを踏みっぱなしにしてミッドレンジがものすごく増幅されたような音でのカッティングがかっこよすぎ。歌詞も、社会問題に対する風刺なんかも含め、サウンドに似合わずなかなかシュールでよろしい。この人のかすれた声がなかなかいいんだよね。アップテンポの曲はノリノリです。今けっこうマイブームかも。
スガシカオ/Clover
中古屋に行ったらスガさんのファーストを発見>即ゲット。セカンドよりも暗く、チープなアレンジ(悪い意味ではなく)。この人のコードワークが好きなのだが、スガ節はこのころからバリバリ冴えてます。歌詞はシニカルの一言。いちおうサウンド的にはファンクに近いんだけど、打ち込みのドラムと極端に歪んだギター、そしてこの歌詞、ポップなメロが組み合わさって、JBみたいな骨太ファンクではなく、なんか、病的な弱々しさを持ちつつ、それでいて身の回りへの痛烈な皮肉を発している、という独特な「日本の若者的ファンク」(意味不明)になってると思います。知的ロックスピリッツってゆーか。よくわかんないけど。とりあえず聞いとけ。
嶋野百恵/baby,baby,Service
一時期HMVのRecommendになっていたが、華原朋美が笑っているような顔のジャケが寒くて(華原嫌い)、手にとりもしなかったが、ある日店内に流れてる曲が気になって、誰のCDか聞いてみたらそのCDでした。で、結局「いけるじゃん!」と衝動買い。 リミクサーの名前に「大沢伸一」の名があるだけでとりあえず買いでしょう。 曲調は、ありがちな、しかしツボを押さえたコードワーク、メロディ。 ちょっと前のDeni Hinesあたりを思わせるようなオリジナルトラックはともかく、 やはりお気に入りは大沢のリミックス。毎度の事ながらローズの暖かい響きと ドライなリズムトラック。いいねえ。これで1200円なら安い。
aco/Lady Soul
いつのまにか出ていたacoの3rd。前回はけっこうマッタリしすぎてて、 聴いてると眠くなってくる感じだったが(それはそれで好き)、今回はマジでいい 。 前作をベースに、よりメロディ重視になり、アップテンポのファンキーな生音曲も 織りまぜ、バラエティにとんだ内容。シングル曲はもちろんハズレなし。 彼女の声もより表情豊かに、しっとりと聴かせてくれる。

秋の夜長に。

古内東子/恋
新譜はまだ買ってないので(中古が出たら。。。)、1枚前のフルウチを。 いいです。最近ブラックミュージックをうまく消化して取り入れて売れてる シンガーが増えてるけど、彼女はそれよりも前から、確固として自分の、ブラック というバックボーンに忠実に曲作りをしています。やっと時代が追いついたかな。 特にこのアルバム、小松秀行との初の共同全面プロデュース。しかもドラムに佐野 康夫が参加!とくりゃいいに決まってるでしょ。 あの、オリジナルラブが熱かった頃のリズム隊。それに彼女の書く、テンション使 いが心地よいコードワークに切ないメロディが重なり。。。。いいねえ。 このコードワークで小松のベースラインが重なると、もはやマーヴィンゲイの世界に連れていかれてしまいます。
このまったりとした声が気に入る人なら、愛聴盤になること必須。 ただ、男としてあの歌詞はちょっといただけないんですけど。。。
吉弘千鶴子/CONSCIOUS MIND
けっこう誰も知らない、でもスゴイ人のアルバム。 この人、キーボディストなんだけど、メジャーな(?)ところではジンサクのライ ブで サポートでキーボードを弾いてたりします。 で、そんな彼女のソロアルバム。ロンドン録音です。 しかしまあ参加ミュージシャンのすごいこと。 インコグ、ガリアーノのリズム隊(ランディ・ホープ・テイラーとか)や、 マックスビーズリー、それになんと、あのロニージョーダンまで参加している! これでかっこよくなかったらサギでしょう。で、もちろんカッコいいです。 彼女のオリジナルもいいんだけど、グレン・ミラーやハンコックの名曲の今風なカ バーが泣かせます。ハンコック先生の名曲、"Tell me a bedtime story"内で聴かせる ロニー・ジョーダンのソロがたまりません。

都会の午後7時に。

Soul Bossa Trio/Nature Vision
このアルバムを聴くまでこのユニットの存在を知らなかったのは不覚でした。 HMVのリコメンドで、ジャケが気に入って試聴したんだけど、1曲目のフィルタ ーがかかった ドラムループとウッドベースの音色で、もう昇天。 即買って帰ったのは言うまでもなし。 その他にも、プリミティブな曲もありつつ、フュージョン色が強い、 インコグにも通じるような「オッシャレ〜!」なサウンドがてんこもり。 ま、綺麗すぎるともいうけど、こういうのを「質が高い」というのだろう。 最後に、あの"Tell me a bedtime story"のイケイケなカバーまで入ってるし。

晴れた休日の朝〜昼に。

井手真理子/風と共に流れて
やっと売れ始めてきましたねえ。最近の日本のR&Bシーンで、サウンドで引っ張るアーティストが多い中、MISIAとならんで歌のうまさで売れてもいいシンガーです。今回は3枚目のシングルにしてついにマキシ。タイトル曲、かなりいいです。久々にイントロからググッと来る構成。ツボを心得てます。シンプルだけどかっこいい。ローズ、オルガン、ギターのからみがたまらん。歌い方がちょっとUAっぽくなったなあと思ったりもするが(特に#2)、うまいから許す。シャカゾンビのリミックスはあんまり好きではないが、ま、"CROWL"のハウスっぽいリミックスも入ってるし、これならこの値段で納得。アルバムが早く聞きたい!
嶋野 百恵/apple,only one,only you
やっぱ季節感溢れる曲って買っちゃうよね。今回のモエちゃんの新譜はクリスマスラブソング。まあ、売れ線狙ったか?みたいな。ソツのないというか、サウンド的には申し分ないです。まあ、共同プロデュースが松尾潔だし。歌はそもそも、それほどインパクトのある人ではないので、どうしてもサウンドで買ってしまうこの人のCD。メロは今回はちょっと不作、かな。今回のリミクサーはなんと、あのincognitoのブルーイ先生です。これがまたオリジナルよりかっこいいんだな。これだけでも買う価値あり。ブルーイのリミックスといえばエスカレーターズの"Fly High"も最高によかったなあ。前回のマキシ"baby.baby,service"のリミックスの方もなかなかよいです。クリスマスソングって限定されてしまうと、その時は抜群にハマるけど、どうしても他のシーズンに聞けないのが難点かな。それにしても題名から見ると、どうしてもマック応援歌に聞こえるが。。。
エスカレーターズ/SPRITE
エスカレーターズの話が出てきたところで、今まで触れてなかったエスカレーターズの1枚を。日本でR&Bがはやりだすずーっと前から活動している彼ら、スライを敬愛しているという、日本では珍しいゴリゴリの骨太ファンクが楽しめます。そして何よりZOOCOの歌唱力。NYでゴスペルを歌ったりしてきたというだけあって、ファンキーな曲はもとより、ゴスペルバラードなんかをピアノだけのバックでライブで歌われると、背筋がゾクゾクします。歌、言葉って、「魂」がこもるんだな、とあらためて思わせてくれるシンガー。
で、そんな彼らの1番ポップなアルバムがこれ。スピッツとかでお馴染みの笹路正徳がプロデュースしているだけあってポップな中にも彼らの個性がいい感じで出てて、すごく気持ちよく聞けるアルバムです。やっぱ川西御大のスラップベースはたまりません。
宇多田ヒカル/Automatic
最近有線などでもヘビーローテーションなこの曲。作詞、作曲、そして歌っているのは15歳の少女であることは以外とみんな知らないかも。とにかく曲がいいです。マイナー調のトラックにキャッチーなサビ。そしてクセのある、しかし表情豊かなボーカル。これは売れるでしょう。フェイクの仕方とかが、すごく堂に入っていて、さっすが本場のR&Bを聴いてきただけあるな、と思います。#2などでたまに見せる声の幼さでようやく15歳という年を認識。同じ年代のSPEEDと比べてみたら。。。比べちゃいけないのか。
久石譲&新日本フィルハーモニー交響楽団/交響組曲アリオン
久石譲といえばまず思い浮かぶのが「ナウシカ」「ラピュタ」のサントラ、という人も多いはず。しかし「アリオン」(マイナーな。。。)のサントラも手がけていたのです。そのサントラをオーケストラ用にリメイクしたのがこれ。久石節のあの切ないメロディ、オーケストラならではのダイナミックさ。久石ファンなら、まずハマります。この手のオーケストレーションを聴いてると自然に手がタクトを振ってしまうのは、吹奏楽出身者の悪いクセ(^^;。

雪景色の中、月が明るい夜に。

和田アキ子/DYNAMITE-A-GO-GO!!!
和田アキ子といえば歌謡曲、といって聴かないのはもったいない。芸能生活20周年を迎え新しい側面を出そうとしたのか、このアルバム、超かっこよすぎ。プロデューサー陣がすごい。屋敷豪太やピチカートファイブの小西、米倉利紀、ゴスペラーズ、とそうそうたる布陣。そんな今風なバックトラックの上で、もともと歌がうまい和田が泳いだらどうなるか。。。これはすごいです。必聴です。
MISIA/The Glory Day
MISIA待望のミニアルバム。聴いてすぐ感じるのは、「喉がやわらかくなってる」こと。ツアーのおかげかどうかは知らないが、これを聴いた後ファーストを聴いてみると、あれほど「すげえっ」と思ってたのに、ぎこちなさが感じれるようになる。タイトル曲のコーラスにLorenの名前がクレジットされてると思ったら、曲はあの鷺巣さんだったのね。イントロのピアノがそんな感じはしたんだけど。分厚いコーラス隊とゴージャスなバックトラックの上で、MISIAはものすごく気持ちよさそうに、自由に泳いでます。歌はいいねえ(しみじみ)。クリスマスソングであることを忘れて、1年中聴いていたい名曲。その他にも、フロアを満足させるべく、ハウスな曲もきちんとおさえてあるし、タイトル曲のリミックスなんて完全ティンバランド入ってるし、申し分ない1枚です。これは安い。
Mondo Grosso/The Man From Sakura Hills
アルバム"Closer"のリミックス盤。"Closer"では、シンプルなアレンジな中にも 大沢のDJ的なセンスが見え隠れしていて、最高にクールで気持ちいい1枚であっ たが、 このCDでは、それらをよりフロア向けにリミックス。ニールセダカの名曲、 "Laughter in the rain"がノリノリのアレンジになっているのがいかしてると思う 。 他のリミクサーも、屋敷豪太、マンデイ満ちるなど豪華な顔ぶれ。特に屋敷豪太の ドラムンベース的アプローチは結構おもしろいです。
njuk/手をつなぐよりも強く
大沢伸一が新人プロデュース、という肩書きにつられて買ってしまった1枚。 なんかビョークを思い出させる名前ですな。 イントロからして、良くも悪くも「定番」となった感がある、大沢節なアレンジ。 気になるボーカルは、ちょっと力を抜きかけた柔らかめのハスキーボイス。 高音部のちょっと裏返る所とかがかなりセクシー。曲の質もジャジーで、なかなか 。 カップリング曲のイントロのウッドベースでイケます。 この曲を聞いて、雰囲気がエリカバドゥーに似てると思った。ちょっとかっこいいかも。
Masters of funk/The Best Of Masters Of Funk
日本人が好きそうなダンスミュージックってのはたぶん日本人自身が一番わかって るんだろうと思う。 そのことがよくわかった1枚。
早い話が、フロアだけで聞くようなダンスミュージックっていう範疇を越えてる存 在。 つまり、あんまりその手の音楽に詳しくない人が、ちょっとカッコつけたい時に 部屋でかけたり、彼女を乗せる時だけクルマの中でかけたり、という需要も満たせ る 、いわば歌謡曲化したダンスミュージック。 こういう音楽こそが、純国産といえるダンスミュージックなのかな、と思ってしま う。 GTSを聴いた時にもそう感じたけど。
名前がMasters at workみたいだったから、てっきり洋楽だと思って試聴してみると 日本人の喜ぶツボをカンペキに押さえてる、という感じ。 というわけでこのユニット、日本人DJが作っていたらしい。 しかし単なるコピーではなく、70〜80年代のブラックミュージックに対するリ スペクト みたいなものはすごく感じる。だからイヤミではないんだけど。。。 一般の日本人向けにソフィスティケイトして、おいしいとこどりした洋楽ダンスミ ュージックとでも言うべきか。。。
まあそんなことはゴチャゴチャ考えず、ミーハーに楽しむべし。 とりあえず買って損した気分にはなりません。 いや、むしろとても気持ち良いと思う。

日本の夏の海辺に。花火と浴衣と蚊取線香と共に。

on/Sugar Soul
98年にメジャーデビューし、精力的にマキシを出していたSugar Soul。
マキシを聞いた時点では、シングルっぽいキャッチーな曲でもなく、「パッとしない な」と思って買おうと思わなかったのだが、今回ついにフルアルバムが発売されたの でとりあえず試聴。そしてあまりの完成度に驚いて即購入。
プロデューサー陣に朝本浩文、大沢伸一、DJハセベなど、個性派のクリエイター達 が名を連ね、その上にアイコの書く印象的な歌詞がハマって独特の世界を作り出して いる。
サウンド的には、ジャズ、ヒップホップ、R&Bなどの要素をうまく取り入れ、それ ぞれのプロデューサーの音作りを如実に表れてしていて興味深い。キャッチーな#1、 スキャットとピアノが渋い#2、洋楽R&B的なコーラスワークにこだわってアレン ジしたという#4、US3を思わせるようなファンキーなブレイクビーツと大阪弁のラップ(!)の掛け合いにうまくボーカルがからむ#6、大沢節全開のジャジーな#10、 フリーソウルに入っていそうな、夏を思わせるポップチューン#12、よく聞くとギ ターがめちゃ渋の、メジャーデビュー曲#15、とハズレはなし。
歌詞に関しても、親友が父親を亡くし、悲しみに沈んでいる時、なんとかしてやりた いけど何もできない、何も言えない、そんな気持ちの時その人に送った詩を元に作っ たという#15「悲しみの花に」などは特に、心につき刺さってくるような鋭さがあ る。気持ちのベクトルが負の時に聞くとマジ落ちる。
早くもステレオタイプ化している日本のR&Bシーン、久々の傑作。
売れないかもしれないけど必聴。
ローリングドドイツ/モダンチョキチョキズ
ちょっと真面目なCD評の次はお馬鹿なのを1枚.
突然だがこのバンド,俺が目指している理想のバンド像である. つまり,「すごいテクですごいお馬鹿なことをやる」バンド.
主に60年代からの日本の歌謡曲をルーツとする,これでもかというほどのパロディっぷりは,ここまでやるとむしろ気持ちよいとさえ思える. 特に「新・オバケのQ太郎」などは秀逸の出来.これだけのテクを持つバンドが こんな曲をこんなアレンジでカバーしてくるとは...必聴.
ちなみに「週間モダチョキ増刊号」に収められている「新・オバケのQ太郎・MegaMix」 も もちろん必聴である.まさにこれは「ジュリ○ナサウンド」のパクリ!爆笑である.
他にも吉本顔負けのギャグのみのトラックなど(メンバーにギャグ担当がいる), 1枚のCDを通して聞くにつれ、連続ドラマのように演じられてゆく「モダチョキの世界観」にどっぷりとつけられてしまう. 最後には60年代時代劇風(?)の意味不明な次回予告まであり, 「キレ度」で言ったら,このファーストアルバムがモダチョキの最高傑作であろう.
しかしソニーもよくこんなアーティストをデビューさせたもんだ。
宇多田ヒカル/First Love
まさに売れに売れまくっている宇多田ヒカルの新譜。 悔しいがとりあえず買ってしまった。。。
アルバム全体を聞いた感じでは、基本的に先行のシングル曲の路線。 というか、早い話アメリカナイズされた現代風のR&Bってとこか。 イントロを聴いた限りでは、TOTALかTLCかSWVか?って感じ。
まあ、サウンドはともかく、際だっているのは歌のうまさ、というより声の個性。 ホワイトでもブラックでもない、独特の切なげな(ここらへんが日本人の血?)声。
サビに無理に英語をもってこないし、しかもさりげなく日本語と英語が同居している。 フェイクも堂に入ってるし。 新時代の歌謡曲とでもいうべきか。
あとは彼女が日本のココロ(?)を持てば、いいアーティストになるでしょう。 木村拓哉に怒られてるようじゃまだまだだな(笑)。
マスコミが騒ぐほどではないが、すごい人が登場したもんです。
椎名林檎/無罪モラトリアム
「ここでキスして。」が売れてる時は「アラニスっぽく歌ってるみたいだけど、その 声と、メロディのキャッチーさが売れてる原因か?」と勝手に解釈して、アルバムも 聞かなかったんだけど、友人のクルマの中でアルバムが流れてるのを聞いて迷わずゲッ ト。
これはおもしろいです。かなりおもしろいです。
まず特徴的な声。巻き舌、シャウト。 そして意味がよくわからないが意味深でシニカルな歌詞。かつ日本語を自由に転がす 言葉選びのセンス。
メロディセンスはまさに日本の歌謡曲のかほり。懐かしささえ感じられ る(お前何歳やねん)。
そして、極端ともいえるようなコミカルなアレンジがあるかと思えば、正統派バラッ ドもあり、素直にカッコいいとおもえるアメリカンロックなアレンジもあり。
これは別の友人の言葉を借りればまさに「女版・桑田佳祐」でしょう。
これだけ個性的であり、かつルックスもばっちり。うーんこれまた注目の新人だ。
嶋野百恵/45°C
MOETちゃんの3枚目のマキシ。中古で300円だったのでゲット。 つまり新品では買っていないということ。
今回のサウンドプロデュースはMISIAやエリージャ・ラヴァンのプロデュースなんか をしてるマエストロTなんだけど、なんかどう聞いてもエリージャ・ラヴァンの曲に 聞こえるんだよね。サウンド的に。DJ HASEBEのリミックスはよくわからんし。
俺の頭の中には、デビューシングルにおける歌謡曲的な切ないメロディが頭にすごく 残っていて、それがこの人のウリだと思ってたんだけど、今回はどうもメロディがキャ ッチーじゃないんだよなー。部屋でたれ流すには絶好のBGMなんだけど、腰を据え て聴こうとすると何も残らない。
まもなく発売されるフルアルバムに期待。
この人にはぜひ、「歌謡R&B」を歌って もらわねば。
Tina/I'll be there
ラジオから流れているのを聴き、「こりゃ洋楽だろ」と思ってたら歌詞が日本語。 歌の節回しが完全ブラックです。この人。すごく熱い歌い方をします。
タイトル曲はアコースティックギターとピアノのアルペジオからの導入。それだけで もイキそうなのに、サビのメロディーがめちゃ「切な系」。日本人としてこういうの 弱いなあ(爆)。やはり最近のR&Bの流れとして、音を詰め込むだけ詰め込んで音圧で勝負っていうより、いかに厳選した少ない音数で説得力のあるオケを作るか、ってのがキモなんだろうな、と思う。宇多田ヒカルの新譜でもそう感じたけど。
#2も、フォーキーかつジャジーなアコースティックギター、そしてファットなブレイクビーツの導入。これまたイントロだけでイケます。#3は、あの有名なユーリズミックスのカバー。これをクラブで歌ってたところをスカウトされたんだそうな。
またまた注目の新人。アルバム期待大。
SAKURA/LOVE ON WINGS
ところでこの人、実はママさんシンガーだったらしい。
そんなSAKURA期待の2ndアルバム。1stで聴かせてくれた、70年代ソウルに根ざした独 特のポップな感覚をうまく発展させてるな、と感じます。より肩の力を抜いて、自然体 で良い曲を書いてます。もちろん、キハラ&佐野&小松のゴールデントリオの参加す る曲も健在。その鉄壁のオケの上で泳ぐSAKURAのボーカルは本当に気持ちよさそう。 ラテンあり、ファンクあり、バラエティに富んだ曲たち全編を通して、幸せな感じで す(よくわからん)。 このアルバムに限らず、最近のポップスのトレンドは生ストリングスのようだ。 #1のストリングスから始まる心地よいイントロは朝の目覚めにベストマッチ。
UA/AMETORA
朝本浩文の趣味色全開って感じだった前作「11」に比べて、今回のアルバムはかな りUA自身がやりたいことをやりたいようにやっている、という感じがします。
前作がダブとかラガ系とかの、良い意味で前衛的なアレンジだったのに比べ、今回はアコースティック楽器を多用したブルージーな曲、ジャジーな曲が多く、またブレイクビーツを使用する曲にしても、ストリングスを伴う、幽艶な静けさの渋目の曲であったり、かなり「大人な感じ」です。かつ、プリミティブな印象がとても強し。
で、なにより圧倒的な存在感なのがその「声」。
どんな曲を歌わせても、その個性が曲に犯されることなく、曲の空気を自分の色に染 めてしまう恐ろしさ。
この人、最近のR&Bブームなんかに媚びることなく、完全に自分の路線を確立しつ つあります。
MIO/a puzzle
キャッチーなサビにひかれて買ってしまったマキシ。なかなかファンキーなオケで、無 条件に腰が動きます。で、この人、声が特徴的。まあ、早い話が「UAに似てる」わけ で。。。
しかしこのファンキーな曲調は、最近のUAがやらなくなってしまった路線。 というわけで、「ママ」とかが好きな人は気に入るのではないでしょうか。
本曲も良いが、2曲入ってるリミックスがかなり秀逸。
SATOSHI TOMIIE/FULL LICK(Disk Young)
SATOSHI TOMIIEって、かなり昔から聞いたことあるんだけど、今回がデビューアルバムらしいです。2枚組で、1枚目はハードハウスのDisk Yin、2枚目がストリングスやローズなど生楽器がフィーチャーされたポップなDisk Youngという構成。これって陰と陽ってことだよね?たぶん。
で、聞いた感じでは、Disk Yinはホントにフロア向けのハウスです、という感じ。ちょっと聞いててつらいかな、と。で、Disk Young。こちらはうって変わって部屋向け。生楽器が大胆にフィーチャーされてて、彼自身のローズ、アコピのプレイが楽しめる。キーボーディストとしても活躍しているだけに、腕の方もなかなか。#2での、フェイザーとトレモロがかかったローズの音が最高。曲調も文句なし。歌モノで踊らせるツボを心得てる。ニューヨリカンソウル風のキャッチーなベードラ4分打ち系ダンストラックもあれば、従来のハウスとはちょっと違う趣の落ち着いた曲もあり。
ダンス系というより、極上のポップアルバム。
Double/Crystal
SACHIKOの突然の死により,最初で最後となってしまったDoubleのアルバム. マエストロTとか松尾潔,筒美京平(!)なんかの大物と共に制作した曲は佳曲ぞろ い.アレンジに福富幸宏が参加してる曲もあり,かなり腰にくる出来. 基本的に今風のUSのR&Bという感じ.ヒップなベースにファットなビーツ. やはりシングル曲が一番耳に残ってしまうのだが、それ以外の曲もかなり踊れる.爆音 で聞きましょう.BEDのリミックスのラップがかなり秀逸. 合掌.
Bird/Bird
大沢伸一の新レーベルから出た新人。アルバムは基本的に今までのシングルの路線(アーシーでちょっとブラジル入ったR&B)かと思ってたら、思った以上にジャズっぽい仕上がり。しかしリズムは、大沢得意のMPC3000使いのタイトなリズム。で、ツボを押えた、かつでしゃばらないベースプレイが心地よい。歌はというと、シングルでは「うまいけどそんなに特徴ない声だな」くらいにしか思ってなかったが、このシンプルな声が大沢のバックトラックと絶妙なバランス感覚を醸し出しているわけで。SUIKENなんかとラップにも挑戦してたりして(この曲はかなりよい)、意外な局面をも見せている。
最後の曲名が"greetings from murphy"ってことで、なんかいやな予感がしたのだが、やっぱり。。。Mondo Grossoの"Closer"ネタとは。。。確信犯ですね。
Tina/Colorado
"I'll be there"で衝撃的なデビューを飾ったTina待望の1stアルバム. エロエロなサックス(Tinaの父親!)からの導入のI'll be thereに始まり,インパ クトが強いシングル曲#4,ローズの響きとスキャットが印象的な#5,かなりハウス な#6,さらにクラシックからの選曲(ショパン/別れの曲)#9,ユーリズミックス の#11と,なかなかバランスのとれたアルバム.なにより際だっているのはその「声」. ハスキーだがハリのある声,そしてその声を聞かせる技巧がすばらしい.必聴.
wyolica/who said "La La..."?
大沢プロデュース売れ線デュオ,wyolicaの待望のデビューアルバム.シングルを一 通り聞いて,かなり期待していたのだが,ある意味期待を裏切らない予想通りの音が 届いた.Birdみたいに予想を完全に裏切ってくれると思ってたんだけど.そこらへん が一般ウケ狙ってるところなんだろうか.大沢さんの趣味っぽい楽曲もあるけれど, 全体的にフォーキーでブラジリアンって感じかな(謎).「風をあつめて」の降谷ク ン(Dragon Ash)のラップはかなり秀逸.韻の踏み方が素直にカッコよい.個人的には, 「風をあつめて」のマキシに入っていた"Carlos Murphy Mix"がテンポ速めでかなり 好きだったぞ.カルロスって誰やねん,っつー感じで(実は大沢).これに限らず, 最近の大沢プロデュース作品のマキシは,大沢自身のリミックスが何曲か入っていて, そちらの方がかなりよい場合が多い.こうやってシングルも買わせようとする魂胆か. ..
V.A./SAKURA HILLS DISCO 3000
MONDO GROSSOの大沢伸一がコンパイルする,今さらディスコ?なコンピ. っていっても,そりゃ大沢の事なのでご安心を.知能指数の高いディスコがてんこ盛 り.ボリュームたっぷり. ディスコと言ったらこんな感じ?というべきベタなトラック#1から始まり,bird,マンデイの新曲で安心.TOWA TEIで手堅く押さえてKJMでまず逝きます.黒羽氏のベース,吉澤氏のローズのカッコいいこと!そしてDJ SPINNAのディープなトラックをはさんでSATOSHI TOMIIEの大ヒットシングルのリミックス,FPMと続きキャシースレッジが歌った後にSTEPHANIE MILLSのこれまたディープなハウストラック.最後はディスコといったらこれでしょう.EW&Fの名曲の大沢リミックス.ある意味ディスコって,このくらいくどいもんなんだよね. 気分をアッパーに持っていきたい時の必須アルバム.
bird/GAME
上で書いたSAKURA HILLS DISCO 3000からのリードシングルでもあるbirdのシングルです。これだけだったら別に何も驚かないわけで。しかしbirdを始め大沢伸一が関わるアーティストのシングルは、タイトル曲よりむしろそのリミックスの方がおいしいのは誰もが知る所。で、今回のリミクサーはツーステップといえばこの人(らしい)、MJコール。そして最近Bossa Tres...Jazz及びそのリミックスや井手麻理子の新作のリミックスをして、俄に注目を浴びているjazztronik。これがまたすごいんです。3人のヴォーカリスト含む8人編成のブラジリアンなジャズバンドらしいんだけど、トリッキーな声ネタから始まりラテンンパーカッション。そんでストリングス。ここでちょい漏れ。さらにこのフレーズをコード的にこう解釈しますか、っていう大胆なコードワーク!原曲完全無視。オリジナルのフレーズと新規に録ってるフレーズが絶妙に絡み合っていて完全な別の曲のよう。原曲のリズムアレンジバージョンみたいなリミックスが多い中、やっぱリミックスとはこうでなくちゃ、と提示してくれた作品です。もうブラジル。しかもこのシングル、この他にも「空の瞳」の4ビート・ドジャズバージョン(ピアノかっこよすぎ)も入ってるし、マーヴィンの名曲、What's goin'onをカバーしちゃったりして(ウーリッツァーソロはダニーハザウェイ入ってます)シングルというにはあまりにも密度の濃い一枚。これをレンタルで¥70で借りちゃっていいんでしょうか。